2024/05/20
歯科矯正治療は、見た目の改善だけでなく、健康面でも多くのメリットがあります。
しかし、治療を開始する前には、そのメリットとともにデメリットも正しく理解しておくことが重要です。
今回は歯科矯正のメリットとデメリットに関して、わかりやすく詳しくご紹介します。
目 次
1. 歯科矯正の基本
歯科矯正治療とは、歯並びや咬み合わせの問題を解決するための治療法です。
歯並びやかみ合わせにより下記の問題が生じることがあります。
不適切な歯並び（歯列不正）がもたらす見た目の問題
歯科矯正を始められる方の多くはこれが理由です。
がたがた、出っ歯、下あごが出ている、前歯に隙間がある、前歯がかみ合わない
などの外見的なコンプレックスを解決します。
清掃が難しいことによる虫歯や歯周病のリスクの増加
歯列不正により歯が重なっていて磨きにくい部分ができていたり、
歯ブラシや歯間ブラシが届かない場所があると虫歯や歯周病のリスクは増加します。
一度治療しても、磨きにくさは変わらないため何度も再発してしまうことが多いです。
発音の問題
歯並びは滑舌や発音に大きく影響します。
歯と歯の間に隙間があるとそこから空気が漏れ、正しく発音ができません。
舌の当たる位置が歯によって阻まれる場合、正しく舌が動かず発音が悪くなります。
顎関節症の原因
かみ合わせがよくない歯列不正の場合、あごを動かす時にあごの筋肉や関節に余分な負荷をかけてしまいます。
負担を放置しているとあごが損傷し顎関節症が起こります。
口を開けた時に痛くなる、あごの位置が動いてしまうことがあります。
2. 歯科矯正のメリット
歯科矯正治療には以下のようなメリットがあります。
-見た目の改善：美しい歯並びは笑顔をより魅力的にし、自信を高めます。
– 口腔衛生の改善： 正しい歯並びは清掃を容易にし、虫歯や歯周病のリスクを低減します。
– 咬合機能の改善：正しい咬み合わせは、食事をより良く噛むことができ、消化器系の健康にも寄与します。
– 発音改善： 正しい歯並びは、より明瞭な発音を可能にし、コミュニケーションをスムーズにします。
– 顎関節症の予防：咬み合わせの改善により、顎関節への負担を減らし、顎関節症のリスクを低下させます。
3. 歯科矯正のデメリット
一方で、以下のデメリットも理解しておく必要があります。
– 治療期間: 通常、歯科矯正治療には数ヶ月から数年かかります。
– 治療費: 保険が適用されないケースが多く、自費での治療となります。
平均的な費用は数十万円から数百万円の範囲ですが、クリニックや矯正の種類によって異なります。
– 一時的な不快感: 矯正装置の装着は初期に口内の違和感や痛みがあります。
– メンテナンスの必要性: 定期的な調整や清掃のため、治療期間後も通院が必要です。
4. 治療方法ごとのメリットデメリット
・ワイヤー矯正
歯の表面に金属の矯正器具を取りつける矯正方法です。
ブラケットと呼ばれる矯正器具を歯の表面に取りつけ、ブラケットにワイヤーを通し、
動かしたい方向に力をかけて歯を動かします。
◎ワイヤー矯正は適応範囲が広く、歯を大きく動かす必要がある場合などの重度の歯列不正に適しています。
また、矯正器具を一度取りつけてしまえば、治療が終わるまで取り外さずに済むため、
マウスピース矯正のように食事や歯磨きの際に取り外すことが面倒に感じる人におすすめの矯正です。
×ワイヤー矯正は歯の表面に矯正器具を取りつけるため、矯正器具が目立ちやすい点がデメリットです。
しかし、ワイヤー矯正のブラケットに使われる素材は金属のメタルブラケットだけではありません。
プラスチックやセラミックなどでできている透明や白色の歯になじみ目立ちにくい素材もあります。
ただし、これらはメタルブラケットに比べて値段が高く、素材によっては強度が落ちる点に注意が必要です。
・裏側矯正
歯の裏側にブラケットを取りつける矯正方法です。
◎裏側矯正もワイヤー矯正と同様、日常的な取り外しが必要ない点がメリットです。
さらに、裏側矯正では歯で矯正器具が隠れるため、矯正器具が目立たない特徴もあります。
×裏側矯正には、食事の制限や痛みをはじめ、ワイヤー矯正と同じようなデメリットがあります。
なお、治療にかかる費用や期間、適応範囲などの面ではワイヤー矯正に劣る点もデメリットです。
また、矯正器具を取りつけたあと、慣れるまでは発音しづらいともいわれています。
・マウスピース矯正は
樹脂製の透明のマウスピースを使用する矯正方法です。
治療期間中は、食事や歯磨きの時間を除き、マウスピースを装着して生活します。
◎矯正器具を取り外せる点、矯正器具が目立たない点が大きいです。
矯正器具を取り外せることによって、食事の制限や歯の磨きづらさがなく、矯正中も快適に過ごせます。
マウスピース矯正は金属の矯正器具を使わないため、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けられます。
×徐々に力をかけておこなう治療のため、状態によってはマウスピース矯正が適応でない場合があります。
自由に取り外せるようにはなっていますが、矯正効果を得るには1日あたり20時間以上の装着が必要です。
そのため、マウスピースをつけ忘れてしまうと、歯に十分な力がかからず治療の効果が得られなくなります。
5. まとめ
このように、歯科矯正治療には多くのメリットがありますが、デメリットや治療費用、期間などを考慮した上で、治療を開始するかどうかを検討することが大切です。
ご自身のライフスタイルや希望する結果を踏まえ、歯科医師と相談しながら最適な矯正治療法を選択してください。
宇治市伊勢田町 矢野歯科医院
歯科医師 矢野隆嗣