2023/06/18
矯正歯科治療の変貌は、ここ数年目覚ましい進歩を遂げています。
歯列矯正はまずワイヤーを目指す歯並びの形にワイヤーを曲げそれを歯につけたブラケットと言われる装置に
通すことで目指す歯並びに近づけていくという形で始まりました。
その後ワイヤーをあまり曲げることなく、ブラケット自体に角度を付与して歯を理想的な形に並べていく
治療が多くみられるようになりました。
次いでワイヤーを歯の裏側につけたブラケットに通して並べていく「舌側矯正」が広まっていき 治療期間も審美的な状態で過ごせるようになりました。
ここ15年ほどでマウスピースを用いて歯の位置を動かしていく「マウスピース矯正」が盛んにおこなわれるようになり
より審美的で快適に矯正治療が受けられるようになってきました。
この変貌の中、新たな流れとしてCTのデータとお口の中の記録のデータを合体させ、通常見えない歯の根っこの動きをしっかりと見ながら歯を動かしていく
またお顔のデータと歯の位置のデータを重ね合わせ、最終的な前歯の位置を現在のお写真をもとに決めていくという考え方がだんだんと普及しているように感じます。(DSD)
また、顎関節と言われる下あごと頭の骨からなる関節が今のかみ合わせでどのような場所に位置しているか、下あごが奥に押し込まれていないかなどを診査していくことも重要です。
顎関節内で関節頭と呼ばれる下あごの骨が奥に押し込まれていると、痛みが生じたりしやすくなります。
またかみ合わせを変えていくことで、矯正治療中に顎の位置が変化してしまい理想的なかみ合わせを作れなくなってしまうこともあります。
これらの変貌の主軸に位置しているのが、マウスピース矯正になっています。ワイヤーで狙った位置に根っこを持って行ったり、お顔から見たどの位置に
前歯を並べることは大変難しく、多くの先生が実現されている方法ではないように感じます。
しかしマウスピース矯正であれば、一本一本の歯の位置を「ここにする」というように決めやすく、予測実現性は高くなってきました。
そのためには先述したCTデータとお顔のデータと歯のデータの重ね合わせが必要になってきます。
どんどんデジタル化されていくわけですが、当然予測と違う動きがみられることもあります。
その際もしっかりと再度診査し、リファインメントをしていくことが大切になります。
部分的にワイヤーを併用したり、ゴムを使わせて頂いたりしながら理想的な位置に歯を導いていきます。
一言に歯列矯正・矯正治療と言えど、このようにかなり幅広い知識が必要になります。 学べば学ぶほどもっと頑張ろうと思わせてもらえます。 そして学んだ事を患者様に還元していけるようこれからも精進していこうと思います。
宇治市伊勢田町 矢野歯科医院
歯科医師 矢野隆嗣